<映画>「浮雲」

ヤルセナキオ、じゃなかった成瀬巳喜男(なるせみきお)監督の傑作。好きな恋愛映画を5本挙げろと言われたら、きっとそのうちの一つに入れちゃうだろうな。

戦中から戦後にかけての、ある男女の恋愛の変転を描いた話(というとカンタンだな)。敗戦というのは、男をかくもフヌケにしてしまうほどの大事件であったのだなあ。それでも女はたくましく生きて、愛して、愛されようとする。森雅之の「もうすっかりダメになっちゃった男」ぶりがうまくて、こんな男となんか別れりゃいいのにと思うんだけど、ヒロインの高峰秀子も負けじとうまくて、ああ、それほど好きなんだなあ、別れられないんだなあとナットクさせられる。なんともリアルで、重くて、不可避的な恋愛。

ぼくは同じ男の森雅之よりも高峰秀子に感情移入してしまって、見るたびにツラくなる。でもそのツラさが忘れがたくてまた見てしまう、そんな映画である。

次回は「も」で始まる映画です。