<映画>「スリ」

ロベール・ブレッソン監督はドストエフスキーの原作を2回映画化している。「白夜」と「やさしい女」だ。
ドストエフスキーというと、ぼくなんかまず「狂おしさ」「熱に浮かされたようなハイテンション」というイメージがあって、静かなるブレッソンとは一見すると結びつかないのだけど、でもドストエフスキー作品の主題のある部分は、ブレッソンの映画にとても合っているんだろうな。どういう部分かと言うと、「自分を取り巻く社会(世界)との対峙(対決)」だと、ぼくは勝手に思ってるんだけど。

この「スリ」はドストエフスキーの原作ではないのだけど、ブレッソン版「罪と罰」といった趣きのある一本。
ラスコリニコフのような選民思想を持つ主人公の青年は、なまじ手先が器用なばかりにスリ稼業に手を染め、ドンドン深みにはまっていく。母親が死んでも、仲間が捕まってもやめようとしない。この破滅的な生き方を、ブレッソンは独特のストイックな演出で描いている。

有名な奇術師を技術指導に起用したとのことで、全編にわたって展開されるスリの妙技はまさに見事。スリの指先の訓練にはピンボールが一番だって言うんだけど、ホントだろうか?

次は「り」で始まる映画です。