<映画>「ドッグヴィル」

ぼくは、映画を観る時は「誰が監督か」で選ぶことが多いのだけど、「この監督の新作は絶対観に行く!」という人はあまりいなくなってしまったな。今だと、アキ・カウリスマキとこの「ドッグヴィル」のラース・フォン・トリアーぐらいだろうか。

とにかく、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(以下DID)を観た時の衝撃はスゴかった。ビョーク演じるヒロインを徹底的にいたぶる容赦のなさ。対極的に、ミュージカルシーンのすばらしい躍動感。そして、救いのないあのラスト。
決して「好きな映画」とか「いい映画」とは言えない。ただ「衝撃」だったのだ。そんな映画を撮るのは、ぼくにとっては今、この人だけだな。

そのラース・フォン・トリアーの、DID以来の新作だと言うので、期待ならぬ覚悟を胸にこの「ドッグヴィル」を観に行った。そしてそれは期待通りじゃない、覚悟した通りにキツイ映画だった。
撮影スタジオ内に区画線が引かれ、家具類が置かれただけのカンタンなセット――架空の村ドッグヴィル。ここを舞台に、ほとんど吐き気を催しそうにおぞましい物語は展開する。
この監督は人間描写に関して容赦ないだけでなく、役者にも容赦ない。カメラはひたすらドキュメンタリータッチに役者に迫るだけで、なんの助けにもなってはくれないので、役者は持ってるモノすべてを引っ張り出さざるを得ない。
撮影現場は相当キツかったんだろうなあ。ベン・ギャザラなんか「二度と出ない」なんて言ってるもんなあ。

でも、これだけ人間に対して容赦ない話ながら、「人間否定」だけでは終わらない「何か」がカンジられるのだ。DIDの時にも同じコトをカンジたのだけど、その「何か」がなんなのかはまだわからない。それをつきとめるために、この人の映画を観続けてるのかも知れないなあ。

次は「る」で始まる映画です。