<映画>「浮草」

小津安二郎監督が自らの「浮草物語」をセルフリメイクした作品。小津監督唯一の大映作品であり、そのため他の作品と出演者の顔ぶれがだいぶ違う。珍しくキスシーンまであったりするためなお印象が違って見える。

小津映画のスタイルについて考えたことがある。
一つのカットで二人の人が会話することはなく、必ず切り返しする点。二、三人の人たちが整然と並んで坐り、わずかに体の一部分だけが重なっている点。これらによって受ける印象は、人と人との融和関係ではなく緊張関係である。小津映画と他の映画とのフンイキの違いはここにある気がする。親子の、夫婦の情愛を描いていながらも、その奥には抜き去りがたい孤独感を感じてしまうのはそのせいなのかなと。

この映画は、一緒に暮らせない親子や、離れ離れになってしまう旅回り一座を描きながらも、不思議に孤独感が希薄な印象を受ける。なんでかな。キスシーンがあるから、というワケでもないと思うけど。

次は「さ」で始まる映画です。