<音楽>「フラワーズ・オブ・ロマンス」パブリック・イメージ・リミテッド

「ラバー・ソウル/ビートルズ」の時にも書いたけど、ぼくがロックを聴き始めた70年代後半はニュー・ウェイヴ花盛りであった。ニュー・ウェイヴとはどういうものだったかと言うと、大仰で装飾過剰なロックに「NO」をつきつけたパンク・ロックがさらに進化し、多様な音楽スタイルを吸収・ミックスしたり、実験を導入したりしたジャンル(と呼ぶには幅広いなあ)であった。ロックは、変わろうとしていたのである。

ニュー・ウェイヴと言われた連中の中でも先頭切って突っ走っていたのが、「ロックは死んだ」という名言を吐いたジョン・ライドンである。ジョニー・ロットンという芸名でセックス・ピストルズのボーカルを務めていた彼は、人気絶頂のピストルズを脱退後すぐさまバンドを作った。それがパブリック・イメージ・リミテッド(以下PIL)である。
PILはスゴかった。呪詛に満ち、それでいてクールなライドンのボーカル、空気を切り裂くがごときギター、そして何よりもインパクトがあったのが超重低音・大音量のベースであった。

この「フラワーズ〜」は、そのベーシスト脱退後に発表された3枚目のアルバムである。サウンドのメインキャラクターであったベーシストが脱けてしまい、この後PILはどうなるのかなと心配したが、彼らはベース抜きのままこんな凄い作品を作ってしまった。全編を支配するのは、原始に回帰したかのようなドラム。ライドンのボーカルはいっそう呪術性を増し、もはや唯一無二というべきサウンドになっていた。

劇団SCOTが「王妃クリテムネストラ」という芝居に、このアルバムの1曲目を使っていて驚いたものだ。