1989年 「壁を叩け 歌を叫べ」
 作・演出:羽広克成
 ツール ド フォース  5月5日〜8日  於:池袋シアターグリーン

ツールド2作目にして代表作。この時からレギュラーメンバーが出来てきた。

ある日、東京を襲った震度4の地震により、一つのビルが傾き、地下街で多数の死者が発生。第6特別救助隊が生存者を救出するため、崩れかけたビルに侵入する。だが2度目の地震により、彼ら自身の脱出口も塞がれてしまう……というストーリー。

イントレ(建築足場用の金属管)を組み合わせた、上下二層の舞台。上の指揮隊は女性ばかりで、カセットをガンガン流しながら、男性ばかりの救助隊と無線でやりとりしながら話は進行するのだが、とにかく言葉が汚い。劇中で使われる「くそったれ!」の回数は日本演劇史上最多ではないだろうか(ギネス未申請)。

「小劇場で、無対象演技によるスペクタクル」という企画を聞いた時、どんなものができるのか(そして本番でも、どんなふうに見えているのか)想像出来なかったのだけど、舞台は大好評を博し、これがツールドの代表作となった。この芝居を観て感激のあまり東京消防庁に就職してしまった人がいたのには、ぼくたちも驚いた。

ぼくの役は、部下の口汚さに眉を顰めるただ一人の背広組・氷山本部長。エリートでキャリアという、これ以後一度もやってないタイプの役。クライマックスでみんなと一緒に「聖者の行進」を叫ぶ(歌うのではなく叫ぶ)ところは、何度やってもゾクゾクしたなあ。