1998年3月24日
大塚ジェルスホール

都会にできたエアポケットのような、ひっそりとした夜の駅。そのホームに、毎晩立っている若い女がいた。そして、そんな彼女を密かに気にかけている、ピエロのメイクをした男。彼は隣の駅でパフォーマンスをしている芸人だった。

ある夜、電車に接触しそうになった女をピエロが助けたことがきっかけになり、二人は親しく話すようになる。

女 〜ナツコ〜 には、結婚を約束した男がいた。仕事で一年間遠方へ行かなければならないが、一年経って戻ってきたら結婚しよう・・・そう言って男が去ってから一年が過ぎたが、男は戻って来ない。ナツコは、約束の場所であるこのホームで毎晩男の帰りを待っているのだった。

ピエロはそんなナツコが不憫でならない。夜の出逢いを重ねるうちに、ナツコへの思いはますますつのってゆく。ナツコも、次第にピエロに心惹かれ、ついに、婚約者を忘れようと決心する。その夜、ナツコの婚約者が帰ってきた・・・・


ヴィスコンティ、ブレッソンらの名匠が映画化したドストエフスキーの中編小説を劇化した二人芝居。大きな広告看板と一脚のベンチというシンプルなセットに、白黒映画のような照明。劇中音楽はなく、電車の音だけが聞こえるというスタイルで、日常の中の非日常的な一コマを作り出した。

なお、共演の山本郁子はおのまさしの大学時代の同級生。卒業以来11年ぶりの共演となった。