第3回  遊ぶ男

とあるジャズバーに飛びこんできた男(おの)。彼は逃亡中の殺人犯で、今も刑事を殺し、携帯電話を奪って来たところだった。彼は店内の全員を人質に取り、警察に電話して交渉を始める。今日は自分の誕生日だから、好きな歌手にラジオで「ハッピー・バースデー」を歌わせろ、出来なければ人質を殺す、というのだ。この恐怖のゲームはいつ終わるのか?


開演前のながばなし

今回の元ネタは、見ていただけば、わかる人にはわかっちゃうと思うんだけど、映画「ダーティーハリー」である。とは言ってもイーストウッドではなく、アンディ・ロビンソン演じる連続殺人鬼”さそり”の方なんだけど。

ぼくはこの映画が大好きで、日曜洋画劇場でやるたびに見ていた。なんと言っても印象的なのは、後半、”さそり”が幼稚園バスをジャックして、子供達に無理やり歌を歌わせるところである。「こーげこーげこーげよ、ボートこーげよー」という”さそり”のエキセントリックな歌声が、見終わってしばらくは耳について離れなかったものだ。あれは、吹き替えだったけどとてもよかった。

役者なら誰でも、「ひとを感動させたい」と思っているだろう。感動、と言っても色々あるけど、要は、笑わせたい、泣かせたいあるいは怖がらせたいなどという思いであり、それは、その役者の目指すもの、志向するものによって異なるところだと思う。

ぼくはと言えば、実は「怖がらせたい」という気持ちが強いのである。昔から、怪奇映画の怪物役に憧れていたし、ミステリーやサスペンス物が好きだし、女の子の悲鳴なんか聞くともうゾクゾクしてしまうのである。(別に変態じゃないですよね、この程度なら?)

「ダーティーハリー」を見た時も、確かにイーストウッドはカッコいいなと思ったけど、それ以上に”さそり”のパーソナリティーに魅せられて、「ああいうのやりたいな」と思ってしまったのである。特にあれは子供をいたぶる役だったからね。何を隠そう、ぼくが最もやってみたい役は、子供物の悪役なのである。団時朗のやった怪人二十面相みたいなね。(古い話だなあ)

今回は結構ノッてます。では、開演までもうしばらくお待ち下さい。

おのまさし