ジグラットを越えて

2004.12.23

ショーGEKI大魔王公演「ウィングス」が、去る12月19日をもって全11ステージの幕を閉じました。ご覧下さった皆様、ホントにありがとうございました。翼であれだけバサバサあおがれて、風邪を引いた人がいなかったかチョット心配です。

ツールドの頃からずっとそうなのだけど、ぼくらの新作はいつも実験みたいなものである。なんたって台本読んだだけではアタマに絵が浮かばないんだもの。
「鳥の翼を人が演じる?」「ラストはたくさんの翼が空を飛ぶ?」「これ一体どうすんの?」今回まず思ったのはこんなことだった。
翼の衣装が出来てきて、みんながそれを装着してケイコするようになると、次第にカタチが見えてきたけど、最終形は劇場に入るまでわからなかったな。
なんたって飛べない人間が空を飛ぶ鳥を演じるのである。それもフライング(宙乗り)なしで。ヘタなことしたら失笑を買うのは目に見えている。
床面にアクリル板を仕込んで、床下からの照明を使うというプランは聞いていたものの、実際それがどこまでの効果を出すものなのか、舞台にのるまではわからなかった。
ああなったわけですよ。結構みんな飛んでたなあ。エンディングでアムコと摩斐が垂直上昇するトコなんか、モニターで見てて「おお!」と思ったものね(あのシーンは照明担当の高橋くんもお気に入りだそうです)。

今回は「自由」がテーマだから、まずは逆に役者を縛ることから始める、ということで発想したらしき「三位一体」だったが、これはやっててオモシロかったなあ。キレイに揃った時の快感たるや、やってても見てても格別のモノがあった。逆に言えば、揃ってない時はそれは見苦しいモノで、今回はやはり、もう少し稽古期間がほしかったように思う。
こういう、一種のファンタジーって、お客さんもその世界に入るまで時間がかかるけど、役者だってホンの世界を体現できるようになるまで結構かかるのだ。今回は、初日の舞台に立った時がホントのスタートラインというカンジだったろうか。

今、初めて書くのではないかと思うけど、ぼくは今回の「ウィングス」という芝居がとても好きである。どこが好きかといえば、なんたって「空を飛ぶ芝居」というところだ。
「飛ぶ」というのは、やはり万人の憧れなのではないだろうか。高い所の苦手な、スカイダイビングなんか死んでもやりたくないぼくでも、自由に空を飛べたら気持ちイイだろうなあ、と思うことはあるものね。
今回、やってる側としてはいくら飛ぶ芝居をしても、どうしたって足が地についてるワケで、実際に飛ぶ快感は味わえなかったのだけど(味わった人いたかな?)、お客さんの「憧れ」は結構くすぐることが出来たのではないだろうか。「ホントに飛びたくなりました」なんていうお声もいただいて、とてもウレシく思った。

自分の役についても書こうかな。
今回のぼくの役はハトの王タケフ。右の翼が左の翼の倍も重いという、偏った翼を持つハトで、好きキライまで偏っている。息子と娘を溺愛し、カラスを毛嫌いする王様である。
今回は、あんまり役作り考えなかったなあ。演出の羽広に「ホントはいつも豆食ってるという役にしようかと思ったんだけど、実際にエサ場で豆食うシーン作ったからやめといた」と言われて、何かそんなカンジのジダラクさを出したいと思い、それ以上のことが思いつかなかったので、やっぱり豆食うことにした。(ちなみに、あの袋の中にはバタピーが入ってました。毎日バタピー食ってましたが、吹き出物は出ませんでしたよ)
ナカツさんの毘偉紅母が、コワイながらも随所に母親らしい優しさをのぞかせる作りになってたから、こちらは対抗上、盲目的な溺愛と、息子に背かれた時の怒り、という表現になった。単純といえば単純この上なかったけど、あれで良かったのではないかと思う。
今回、何が一番楽しかったって、やっぱりナカツさんとの共演かなあ(「壁を叩け〜」で共演して以来のファンなのです)。

あと、音楽について。
今回のテーマ曲はかの名曲「大逃亡のテーマ」以来のデキだったのではないかな。なんとかいうピアノトリオ(名前忘れてしまった)が今一番のお気に入りだという山本くんらしく、今までにないピアノ主体のアレンジでどの曲も実によかった。結婚式の歌なんて、定番ソングにならないかな。少なくとも、ぼくらの仲間内で結婚式があった時には歌えそうだな。

などと長々と書いたけど、これでショーGEKIの2004年も終わり。そしてぼくの30代もあと数日で終わろうとしている。おおお、もう名実ともに中年だなあ。でも周りの40代を見てると、なんか40代もいいもんなんじゃないかという気もする。
ともあれ皆様、今年もショーGEKIならびにおのまさしをあたたかく支えてくださってありがとうございました。皆様にとって、来年がさらにいい年でありますように。

次回の「まさしくんZ」はおそらく2月の公演後になると思います。それでは、また。