博士、実験は成功です!

2010.04.26

ショーGEKI実験シアター「ドラキュラ」「ベッドトークバトル」が去る4月18日に無事閉幕しました。おかげさまで満員御礼! 特にベッドトークの方は楽園の入場者数記録を更新したようです。
ご覧くださった皆様、ホントにありがとうございました。おのまさしが出てなくて淋しかったというお客様、5月の紀伊國屋でゼヒお会いしましょう。

さて、今回は公演の成り立ちから説明する必要があるかな。
そもそもの初めは昨春の「チック・タック・レディ」の時に1ステージだけやった研修生実力テスト公演であった。あくまで試しにやってみた企画だったが、やってみると、普段メインになれない若手にとって、自分たちがメインとして芝居に取り組む機会があった方がよいのではないか、ということになり、実力テストで演技指導(ほとんど演出だったが)を任されたぼくが、今回もホンと演出を担当することとなったのだった。

昨年末の企画会議にぼくは二本の企画を出した。一本目がこの「ドラキュラ」で、二本目は古典落語の夫婦モノを三作アレンジし、三組の夫婦の話をオムニバスにするというモノだった。(ホントは三本目として、完成済みの台本があったのだが、紛失してデータも残ってない。ああ惜しいことした)
もともと「ドラキュラ」はおのまさしあたあ新作として「『ドラキュラ』か『ホームズ』やりたいなあ」などと漠然と思っていたところだったので、あの映像を使う演出プランも出来てはいたのだ。プロデューサーの羽広も「ドラキュラ」に乗り気で、出演者のみんなも「オムニバスでなく、みんなで一本の話をやりたい」ということだったので、あっさり「ドラキュラ」に決まったのであった。
企画の時点でキャスティングはほぼ出来ていた。座長であるサトシをタイトルロールのドラキュラにしようと決めたのには、前年の「大逃亡」の清盛役で、血を吸う芝居がうまく出来ず悔いを残していたようだったから、そのリベンジをさせてやりたいと思ったこともあるが、でもまあ順当なキャスティングだとは思う。
ハムときょんのハーカー夫妻、黒ちゃんのヘルシング、もえのルーシーまではすぐに決まって、みぃの役をどうしようかと思ったが、原作では男であるレンフィールドを女にし、有名な吸血鬼の名である「カミラ」を冠することにした。
台本書きは、時期的に「三國志」の稽古と並行してやらなければならなかったが、稽古に行き詰まった(?)時の息抜きになってくれて、それほどアタマを悩ますこともなかった。
最後まで迷ったのは、ヘルシングを死なせるかどうかで(原作では死なない)、死なせないことで台本を完成させたものの、実は稽古が始まってからもまだ迷っていた。いよいよドラキュラを倒しに行くという時に、一番頼りになるヘルシングが死んでしまう方が、スリルは高まると思ったからだ。結局死なないことにしたのは、黒ちゃんのヘルシングが「死んでほしくない、愛すべきジジイ」になってくれたからである。

いやしかし、こんなにエネルギー使った演出したことない。何に使ったかといえば、役者の持ってるモノを全部引っ張り出すことにである。おのまさしあたあではこんなことはない。というのも、最初から演出に苦労しない人たちを呼んでキャスティングするからである。
今回はまったく勝手が違った。気がつくと、稽古場で一番口数が多く、誰よりも大声を出しているのは外ならぬ自分だったりした。何たって今回は「若手がよくなりましたね」と言ってもらえなかったら意味のない企画なのだ。「演出がオモシロかったです」では0点なのだ。加えて、ショーGEKIの看板に(大した看板じゃないかも知れないけど)泥を塗るワケにはいかない。結構プレッシャーありましたよ。
以前他のとこでも書いたけど、「実験シアター」という呼び名は、お客さんにとってはわかりやすいモノだったと思うけど、「今回は実験なんで、失敗してもそこはどうか大目に見て」と言ってるようで、ぼくとしては潔さをカンジなかった。当たり前だけど、実験なんて毎回やってることで、舞台に上げるべきは実験の成果でなくてはならない。
とは言え、今回はおのまさしあたあを見慣れた人にとっては新味は少なかったかな。ロウソクは「赤い部屋」でも「巖窟王」でも使ったし、映像は「80日間」でも使ったし。
あえて言うなら、今回の映像は「80日間」でうまくいかなかった「静止画によるアニメーション」というモノで、コウモリなんか結構うまくいったのではないかと自負している(映像の高橋くんの力だけど)。ちなみに、あのコウモリや狼の目の絵はぼくが自分で描いた。だって誰も描いてくれないんだもの。
あと、実験と言えるのはラスト3分のセリフのないシークエンスかな。もともと今回の芝居で一番参考にしたのがサイレント映画「吸血鬼ノスフェラトウ」だったからね。セリフなしというのはチョット勇気がいったけど、やって正解だったかな。

どうなることかと思ったけど、フタを開けたら好評で迎えていただきヤレヤレであった。若手のみんなも、それぞれに成長を見せてくれたようで、なんとか務めは果たせたかなと思う。ま、とにかくみんなお疲れ様。百点満点とは言わないが、ガンバってくれました。今回の芝居がみんなにとってイイ経験となったなら幸いです。

スタッフについても書かないと。
映像の高橋くんを除いては、演出家として一緒に仕事するのは初めての人ばかりであったが(照明の岡森なんて20年近いつきあいなのにね)、ぼくのワガママにみんなよくつきあってくれた。
音楽の三好さんには数年前に「ホラーやりましょうよ」と言われていたのだが、それが思わぬカタチで実現したワケだ。とにかくみんな、お疲れ様でした。タイヘンお世話になりました。

「ベッドトークバトル」についても書いておこうかな。
今回、若手チームだけでは動員に苦しみそうだから、アダルトチームで2ステージだけ何かやろうというのは最初から決まっていたのだけど、それがどうしてああいう話になったかと言うと、「ドラキュラ」のセットに「柩としてもベッドとしても使う箱」があることが決まってたから、「じゃあベッドを使った話にするか」ということになったのである。実際出来た箱はせいぜいシングルベッドの大きさしかなく、別にもうひとつ作らなくてはならなかったのだが。
ショーGEKI初のオムニバス、そしてエッチなコメディ。こういうのに出たかったなあ。ゲネを見て、みんながとてもウラヤマしくカンジた。まあとても出る余裕なかったけどね。

ということで今回は終わり。今後の実験シアター存続を求める声もあり、やれる限りはやった方がいいとは思うのだが、来春はチョット時間なさそうだし、次はいつになるかなあ。

では、次回は5月のワンダーランド公演のあとで。