新撰組、本多に参る!

2011.4.10

ショーGEKI大魔王「新撰組」が去る3月29日、全8ステージの幕を無事に閉じました。ご来場くださった皆様、誠に(新撰組だけにね)、誠にありがとうございました。

今回はホントに、一生忘れないだろう公演になった。それは、初めて本多劇場に立ったから、ということでなく、稽古中の3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震のためである。

いつもの錦糸町の稽古場に移って二日目の稽古中にあの地震に見舞われたわけだが、正直、電車が動かず稽古場にどうやって行ったものか、などという経験は初めてだった。被災地の惨状を見るにつけ、みんなも少なからず不安に思っていただろうが、そんな中、主宰の羽広は「公演はやる。もしもガソリン不足から劇場にセットが運べないなんてことになってもセットなしでやる」と宣言し、みんなも腹を決めたのだった。しかし、腹を決めたと言え、こんな時に芝居なんてやってていいんだろうか、お客さんを呼んでもいいんだろうかという後ろめたさみたいなものはあったに違いない。そんな中キンちゃんが「こういう状況で、こういう(人が大勢死にまくる)芝居をやることの意味を考えよう。共通の見解を持とう」と言った。これでみんなホントに腹を決めたのじゃないか。
稽古中はエアコンを切って、オーバーやベンチコートを着たまま臨む日々を送った。みんなも、家にいて地震のニュースばかり見ているよりは稽古に来ている方が、仲間と一緒にいられるのでウレシかったのでは。稽古場には、今までにない連帯感が生まれていた。

そしていよいよ初日。やはり空席が目立ったが、終演後はカーテンコール2回。芝居ができると言うこと、それを見てもらえると言うことのシアワセをあらためて噛みしめた瞬間であった。千秋楽に至っては立ち見まで出、カーテンコール3回にスタンディングオベイション。これでみんな泣かされた。みんな袖に引っ込んで抱き合って泣いてた。こんな体験、そうそうできるもんじゃないよ(望んでするものでもないし)。

さて、これだけだと、いかに震災後の公演がタイヘンだったかという話で終わってしまうので、内容をちゃんと振り返ってみよう。

今回、ショーGEKIにとって初の本多劇場公演が決まった時、主宰の羽広が演目に選んだのが「新撰組」というのは、この芝居を代表作と考えていることもあり、また、他の芝居が本多のガクブチには適さないと考えたこともあるだろう。過去2回は「新撰組」「維新士」の同時上演であったが、稽古にかけられる時間などもろもろのキャパシティを考慮し、「新撰組」単体での上演と決まった。
今回はカタチにこだわる、とのことだったので、殺陣の上にも趣向があった。天然理心流・神道無念流など、それぞれの流派のカタチを取り入れたのである(土方・桂の一対一はまさにそれ)。
と同時に、芸妓チームは10・Quatre池田玲子師匠のもと日舞に取り組むこととなった。付け焼き刃ではあったものの、なんとか見せられるものにはなったかと思う。

うっちぃが沖田やるのにはさすがにツラくなり、うっちぃは土方にスライド。代わって沖田役はメンバーになりたての宮脇タケシ。本格的に殺陣をやるのは初めてで、タイヘンだったと思うが、でもガンバった。そして相手役のおきんはなんとあすか。マイナス20歳目標でこっちもガンバった。稽古場と劇中では立場がまったく違う二人だったが、よかったんじゃないかな。

前回から引き続き同じ役を演じたのは、俺の他には近藤役のミノル、竜馬役のとーる、君尾役のこずえ、勝海舟役のキンちゃん、山南役の智也くん(田中智也)、そして薩摩の人斬り二人、よっしい(高橋祥尚)とまっつん(松島圭二郎)。わりといたなあ。前回から8年たってるわけだけど、みんなダテに年取ってるわけでなくて、人としてしっかりと深みが出てて、浮ついたところがなくてよかったと思う。個人的には、キンちゃんの勝がべらんめえになるとこが好きだった。というより、俺がやってもやっぱりああやろうとしただろうな。
俺は3回目の桂小五郎。今まではウジウジ悩むリーダーだったが、今回はもう悩むのは全部吉田稔麿くん(高倉良文さん@ネコ脱出)に任せてしまったので、随分とやりやすくなった。セリフなんか全部キメキメで(顔上げて一言、正面切って一言、みたいなカンジで)、いつ「クサい!」と言われるかと思ってやってたが、ついに言われることはなかったなあ。

今回、特筆すべきはやっぱり池田屋だろう。前回は階段が動き回る演出だったが、今回は8枚の戸板が動き回って、屋内での戦いという雰囲気を出していた。剣の切っ先も戸板の上には出さないようにしてね。カッコよかったんじゃないだろうか。戸板隊のヤング8諸君、お疲れ様でした。

かくして、一時は上演の危ぶまれた公演ではあったが、「新撰組」は予定通り全8ステージの幕を閉じたのであった。
ご覧くださった皆様、ホントに、ホントにありがとうございました。ただただ感謝であります。
そして、公演をともにしたスタッフ、キャストのみんな、お疲れ様でした。思い出作りのために芝居をしているワケではないといえ、今回のことは、きっと一生忘れないと思います。ホントにお疲れ様。

そして、休むまもなくおのまさしは4月公演「乱歩1925」の稽古に入っております。12年ぶりの「赤い部屋」は、セリフがまだ覚えられません。まあ、「三国志」を経験したあとでは全然大した分量じゃないけどね。

では、次回はその「乱歩1925」のあとで。