輝ける七つの海

2013.9.22

おのまさしあたあ ジャンク・オペラ「酔いどれ船 〜まださまよっていたオランダ人〜」(長いタイトルだなあ)が、さる9月16日に全7ステージの公演を終えました。
ご覧くださった皆様、ホントにありがとうございました。
ザンネンながらご覧いただけなかった皆様、11月のショーGEKI大魔王「サンゴクシ」でぜひお会いしたいと思います(^_^)

そもそも今回は、ネタもないまま「とにかくやる!」ということだけ決まってた公演で、それはなぜかというと、昨年のダンパチ大阪ツアー用のノボリをお客さんに出していただくための公約として「ノボリを出していただいた方は、2013年のおのまさしあたあにご招待します!」と言っちゃって、それで何本か出していただいちゃったものだから、やらないわけにいかなくなったのである。(長い文章だなあ)
この時点では、どんなことをやるのか、まったくの白紙であった。今回の題材になった「さまよえるオランダ人」(以下「オランダ人」)は、もともとぼくの「やりたいものリスト」(あるんですよそういうのが)の何番目かにはあったのだが、それをどう料理すれば芝居にできるのか、まったく目鼻もついていなかった。

そんなある日、芝居とまったく関係なく、パンタ&HALの「マラッカ」というCDを買った。
高校時代から存在だけ知ってて、なぜか手を出さずにいたものに、なぜそのタイミングで手が伸びたかは覚えていない。ひょっとしたらこれが「運命」というものかもしれない。とにかく、一曲目の「マラッカ」を聴いた時、ぼくの中で何かのスイッチが入ったのだと思う。大海原をひた走るタンカーの姿を歌うこの歌のカッコよさにシビレるとともに、
「船の話、海の話をやろう。船と海に関するいろんな話をコラージュしちゃえばいいんだ。」
と思いついたのだった。

冒頭のトークで言った通り、乗り物に関する話は芝居ではやるまいと思っていたのだ。いたのだが、やっぱり俺は好きなんだなあ船の話が。だからもう、いっぺんだけやらせてもらおう、やるからには徹底して船、船、船で行こうと決めた。
話のベースを「オランダ人」にし、400年さまよい続ける船乗りたちが、暇つぶしのために芝居(それもなぜか船と海の芝居ばかり)を続ける、というところまではすぐ思いついたが、さてこの話のどこに女性が登場する余地があるのか?というところで行き詰まった。
ちょうどその頃である。オランダの16歳の女の子が、ヨットによる単独世界一周の最年少記録を達成したというニュースを目にしたのは。
これだ、と思った。
難破して洋上に漂う女性ヨットマンが幽霊船に救い上げられたものの、船にかけられた呪いのために7年後までは上陸できない……話の出だしとしてはこの上ないだろう。かくて「酔いどれ船」は出帆したのである。

森澤碧音ちゃんの配役は一番先に決まった。ショーGEKIの「ギャンブリング」に出てもらって以来、いっぺん出てほしいとずっと思っており、表現がむずかしい嵐のシーンも、彼女のダンスならクリアできると思ってお願いしたのだ。
紅一点が決まると、それを取り巻く男たちにはできるだけコワモテを選ぼうと決めた。大曽根(徹)は決してコワモテではないが、ガタイの大きい人が一人ほしかったから。唯一おのまさしあたあ出演経験のあるダイシロー(羽野大志郎)は、一人ぐらいややソフトなのがいないと碧音ちゃんが稽古場に来るのをイヤがるのではないかと思ったから。谷仲(恵輔)さんとまっつん(松島圭二郎)については、まあ説明不要だろう。しかし男優陣はヒゲ率100%だったね。ムサかったなあ(^_^;)

初めからコレドでやることを想定して台本を作っており、もちろん映像を使うことが前提だった。
「ドラキュラ」でも「乱歩1925」でも映像は使ったが、今回はホントのアニメーションが必要だった。そこで「80日間世界一周」の時にアニメを作っていただいた上さんにお願いした。あの時はもっとシンプルな線画アニメだったが、今回は結構リアルな映像に仕上がった。波も、軍艦への突撃も、白鯨も、どれも素晴らしかったなあ(T▽T)

そして、肝心の内容はというと……
今回、芝居の半分は船乗りたちによる劇中劇5本(もちろん抜粋)であり、ベースのストーリーは「オランダ人」の設定をもとにしたオリジナルである。
稽古場に来るスタッフ来るスタッフみんな、腑に落ちないような、オモシロくなさそうな顔をし、首を傾げていたので、ぼくはどんどん不安になっていった。
ハズしたか?
劇中劇がどれも古いネタばかりでピンとこないのか?
メインのストーリーが、まるでライトノベルみたいだからか?
このまま舞台にかけたらどうなる? 「おのまさしのマスターベーション」と言われ総スカンか? 初日の数日前まで、かなり本気でそんな心配をしていたのだ。
稽古最終週にいよいよ映像が加わり、音楽が加わり、最後の最後で小道具と衣装が加わって、「テンペスト」の嵐の船上でマントを手でバタバタさせたり、「海底二万哩」で、シリアスな芝居しながら爆発のたびに飛び上がったりというバカバカしい演出をつけて、ハッキリと「あ、これ、笑っていい芝居なんだ」とお客さんが思えるものにできたことで、「いける」と思えたのが初日の前日。俺もまだまだ、自分のビジョンに自信が持ててないんだなあと痛感したf^_^;)

評判は、と言えば、かつてないほど好評ばかりで、かえって面喰らった。
「船でしたね」「船の中にいる気分だった」というご感想をいただいたのがなによりウレシイ ノ△≦。) まさに今回は、船に乗っている気分を味わっていただくための芝居だったのだから。

かくして、オランダ人一行と日本人女性カタセ・リナを乗せた帆船カストロバルバ号は、すべての航海を終えたのだった。
出演者のみなさん、お疲れ様でした。ご一緒できてウレシかったです。どうもありがとう。
スタッフのみなさん、大変お世話になりました。演出の至らぬ点を助けていただき、ただただ感謝感謝であります。
そして、ご乗船くださった皆様、ホントにホントにありがとうございましたm(_ _)m
次回のおのまさしあたあはいつになるか未定です。多分来年はないでしょう。再来年は……ワタシも大台に乗りますので、その記念に何かするのではないかと思います。おつきあいいただけたら幸いです。

ではまた。つぎはおそらく「サンゴクシ」のあとで。