歩け、下を向いたままでも

2013.12.03

ショーGEKI大魔王2013「サンゴクシ」がさる11月24日に無事(かどうかはビミョーですがf^_^;)全10ステージの幕を閉じました。
ご覧くださった皆様、誠にありがとうございました。残念ながらご覧いただけなかった皆様、来年はどこかでお会いしたいと思います。

今回の「サンゴクシ」は、WECの「ドラゴンスカイ」を母体とはするものの、ショーGEKI大魔王としては2005年の「チャンピオン2」以来となる新作であった。
大元になっているのはもちろん中国戦記「三国志」。この「三国志」から、各キャラクターの名前や「三顧の礼」「苦肉の策」などの有名なエピソードを盛り込みつつ、近未来SFアクション劇(なんですよ実は)に仕立てたものとなった。

時は近未来。地下深くには「ナナヤミ」(一日の七割は夜だからこの名)という牢獄世界があり、地上で罪を犯した者は、地上での記憶をゴッソリ抜かれ、罪悪感だけを抱えてここに落とされる。一日の終わりにはサイレンが鳴り、すると頭の中に数字が浮かんで、それが一つ減る。ナナヤミに落とされた時が3650で、それが一つずつ減っていく。つまり、10年の命が死に向かってカウントダウンしていくわけだ。
ナナヤミに生きるすべてのもののアタマに植えつけられた一つのルールがある。それは
「三年でナナヤミを統一することを誓い、それを果たすことができたら、誓ったものの願いが一つ叶う」というもの。
「10年の寿命を超えて自由に生きたい」「失われた記憶を取り戻したい」というそれぞれの願いを実現するため、魏と蜀という二つのクニが戦っており、その戦いを尻目に、第三勢力である呉のクニは毎日遊び呆けている……
というのが芝居のスタート地点なのだが、牢獄云々という部分は劇中で明らかにされることはなく、ナナヤミという世界が一体なんなのかは最後まで謎のままである。

この世は牢獄だ、ということを劇中で初めて言ったのはハムレットだと思うけど、「世界は牢獄、われらはみな囚人」というテーマは、何をかくそう俺にとっても昔から興味あるものだった。
近未来でSFで囚人、おお、まるで俺の大好きなTVドラマ「プリズナーNo.6」ではないか! それでなおかつ「三国志」ってどういうことだ? 企画を聞いた時には、一人でそんなカンジに盛り上がっていた(^_^)

もともと、主宰羽広は三国志のキャラクターが好きで、前から「三国志」をやりたかったのだが、広大な場所で数十年にわたって繰り広げられる話はショーGEKIの舞台には合わないため、ならばいっそ、時間も空間も限定された世界の話にしてしまえ、と思ってこういう設定にしたのだとか。
三国とも軍師を女にしたのは、「女が男を動かす話が好き」ということもあるが、それ以上に「三組のラブストーリーにしたい」と思ったからとのこと。
互いが互いの分身であるかのようなソウソウ(七枝実)とシバイ(吉川亜州香)、宝物を手に入れたものの、その使い方がよくわかっていない少年のようなリュウビ(宮脇健)と、当の宝物であるコウメイ(廣田朱美)、天真爛漫な王ソンケン(鈴木とーる)と、それを母のような愛で見守るシュウユ(小宮凛子)。三組の、クニを司るものたちの愛は、そのままクニの行く末を左右するものになりかねないが、今回は「愛が国を滅ぼす」という話ではなく「愛が国を生かす」話になった。願いは愛するものたちに引き継がれていくワケだからね。

空から落ちてきたボロ(革ジャンやジーンズ)を身にまとい、廃材のような鉄パイプで戦う、という世界観は、戦国武将のそれではなく、不良、ストリートギャングたちのものに近い。クライマックスのソウソウとリュウビの一対一なんて、不良のケンカそのものである。
「三国志」と言えば、多くの人がビジュアル的にまずイメージするのは、強い武将がバッサバッサと敵を切りまくるゲームかもしれないが、われわれが今回「サンゴクシ」でやろうとしたのは、「殴る」ということの、「切る」以上のリアルさであった。要するに、切られた経験のあるお客さんは少ないだろうけど、殴られた痛みはかなりの人が知っている。つまり、切るのではなく「殴る」という行為で、この世界での戦いをよりリアルにカンジていただきたかった、ということだ。
(それにしちゃ、ソンケンの空気砲なんてのがあったけど、まああれはご愛嬌f^_^;)
過去のどのショーGEKI作品よりナマナマしく、エネルギー溢れる立ち回りになったのではないかと思うが、いかがでしたでしょうか?

自分の役のことも少し書く。
今回、俺が演じたのは呉のクニの親衛隊長コウガイ。「三国志」の黄蓋は周瑜と袂を分かち、曹操に寝返る……と見せかけて(これが「苦肉の策」)、火薬を満載した船で魏の船団に体当たりをかまし、赤壁の戦いで呉・蜀連合軍に大勝利をもたらした人だが、今回の芝居では金属類を大量に巻きつけた長い鉄パイプを魏のシロに持ち込み、わざと落雷を受け魏軍に大損害をもたらすというのが最大の見せ場だった。
ソンケンとコウガイの関係は、基本的にバカ殿と口うるさい三太夫であり、登場シーンでは怒鳴ってばかりという人にしたかったのだが、稽古中に喉を痛めてしまい、イメージしてたエネルギーが再現できなかったのが悔やまれる(T ^ T)

本調子でなかったといえば、いつにも増して怪我人、病人続出の公演ではあったのだけど、全ステージ終わらせることができ、まずはホッとした。なにより「エネルギー」が問われる舞台であるのに、肝心のエネルギーがさっぱり出てないでは意味がないので、結構歯食いしばってがんばってた出演者もいたのでは。
俺の場合は、歯食いしばったって声は出ないので、養生と禁酒の日々でありましたが、その甲斐あってか、中日以降はやっと、少しはセリフが聞き苦しくなくなってきたのではなかろうかf^_^;

かくして、「サンゴクシ」は幕を閉じた。
正直な話、「サンゴクシ」の世界は居心地のいい場所ではなかった。争いごとが絶えず、命が減っていくのを待つだけの世界なんて、そりゃ気持ちいいワケがない。だけど、あの空間に間違いなくほとばしっていた70数人のエネルギーは、今もまだ名残惜しく思うなあ。
スタッフの皆様、お世話になりました。共演者の皆様、お疲れ様でした。ナナヤミのあの小さな空の下で皆さんとご一緒できてよかったです。
そして、ご来場くださったみなさま、ホントにありがとうございました。今年はこれで打ち止めですが、来年もショーGEKIならびにおのまさしをヨロシクお願いしますm(_ _)m

では、チョット早いですが、楽しいクリスマスを。そしてよいお年を(^_^)