博士、今年も実験は成功です!(ひさびさ)

2015.4.25

ショーGEKI実験シアター2015「オペラ座の怪人」(以下「オペラ座」)が去る4月19日日曜日に全4ステージの幕を下ろしました。
ご覧くださった皆様、ホントにありがとうございました。ご窮屈さまでした(^_^;)

「オペラ座」の上演については数年前から考えてはいたのだけど、そのとっかかりが思いつかずにいた。
今回の実験シアターのテーマ(?)が「出演者わずか5名。かつてないほどの低予算。それでも赤字を出さない公演」ということになったので、ならばおのまさしあたあ「巖窟王」で一度やったことのある「ロウソク明かりのみでの上演」はどうかと考え、その線でなら「オペラ座」もありかなと思ったのだ。
さて、演目が「オペラ座」に決まり、まずどうしようかと思ったのはシャンデリアだった。「ドラキュラ」に棺が、「レ・ミゼラブル」にバリケードが欠かせないように、「オペラ座」にはシャンデリアが欠かせない。さてどうしようかと思ったところで、「ロウソクしか使わない芝居なら、ロウソクを持った役者たちをシャンデリアにしてしまえばいいじゃないか!」と思いついたのだ。
結果はこれである。

ショーGEKIミノルに製作を依頼した。最初は、首輪から枝付き燭台の生えてるものを考えたが、見た目のバカさではこっちの方がずっとよかった。これが出来てきて、シャンデリアのシーンを試しにやってみたところ、なんだか今回はいけそうな気がしてきた。

今回、何がいつもと違うって、「原作のオモシロさがよくわからない」というところからスタートしたことだろうか。自分で演目選んどいていうのもなんだけど(^_^;)
そりゃ、道具立ては魅力的だ。オペラ座の地下深くに自分の住まいをこしらえ、夜毎に怪異をあらわして「幽霊」と恐れられる仮面の男が、ダイヤの原石のようなソプラノに目を留め、彼女をプリマに育てあげるうちに邪恋が芽生えてしまう……華やかなオペラ座、その地下に広がる魔の世界、美しい歌手、それに恋する異形の怪人、という魅力的な道具立てがあればこそ、この原作は何度も何度も映画化・舞台化されてきた。しかしそれらはどれもアレンジが加えられていた。
完全なスリラーだったロン・チャニー版、作品を盗用され薬品を顔に浴びた男の復讐劇になったクロード・レインズ版、そのレインズ版をベースにオカルトが加味された「ファントム・オブ・パラダイス」、そしてエディプスコンプレックス色を濃くしたロイド=ウェバーのミュージカル……みなそれぞれ、大なり小なり原作をアレンジしてある。
そこであらためて原作を読むと、これが俺にはあんまりオモシロくないのだ。ほぼ同時代のデュマ、ヴェルヌ、ユゴーらの作品を芝居にしてきて、これだけノレないのは初めてだった。ゆゆしき事態だ。これはもう、名場面だけをつなげた見世物に徹するしかないのか、それとも大胆な読み替えが必要なのか。

役者に聞いてみることにした。作品についてではなく、役についてである。誰に聞いたかと言えば、そりゃもう怪人役の岡本である(演出助手の和久井にはのちに「禅問答演出」と言われた)。特に、クライマックスにはこだわった。
「誘拐したクリスチーヌを手籠めにしちゃわないのはなぜなのか? なぜ、最後に至ってまだ、自分のものになるどうかの選択をさせるのか? 結局、怪人はクリスチーヌのどんな答を望んでいるのか?」
岡本に聞きながら、俺は自問自答していたのだ。彼から満足得られる答が返ってこないうちに、俺はこの「オペラ座」という話がどんな話なのか、ようやくつかめてきた。だいぶかかったけど。

愛というものがどんなものなのかも知らないままに、駄々っ子のように愛を求める怪人。怪人に限りないシンパシーを感じながら、それは愛ではなく「同情」なのだと悟ることで怪人の非道を許すクリスチーヌ……そうか、こういう話だったんだ。ならばアレンジは必要ない。正統派「オペラ座」をやってやろうと思った。かつてない低予算で(^_^)

出演者が手燭を持って、シーンに出てる役者を照らすというのは「巖窟王」でも使った手だが、今回はあの時より「火」が芝居してくれた。炎のゆらめきがかなり効果を生んでいて、役者より火の動きを見てる瞬間さえあった。
地下へ降りるミニチュア螺旋階段は、当初はチョウチン状のものを考えていたが、最終的にはニノが階段女になったことで笑いも取れた。
仮面舞踏会は……もう少し明るくしたかったなあ。あそこチョット心残り(>_<)

実は今回、キャスティングが決まってからの降板があり、配役変更で丹羽がクリスチーヌになり、もともと制作のみだった二ノ宮に出てもらうことになった。結果オーライではあるが、このキャスティングでよかったかな(^_^)
岡本、丹羽はレミゼ以来3度目の付き合いになるが、今回、ごくごく小さな部分で何かをつかんでくれたのではないかな。それが根拠ある自信につながれば、伸びるキッカケになるのだろうけど。
江口、馬場の新研修生組は、ショーGEKIのお客さんにアピールできたんじゃなかろうか。まだまだ若いからなあ。タノシミではある(^_^)
二ノ宮は急遽出演を引き受けてくれたわけだが、よくやってくれた。毎回、実験シアターでは、研修生たちを助けてくれる助演のお兄さん方がイイ芝居してくれるんだけど、今回の二ノ宮は「うまくなった」というのではなく「シーンを任せられるように」なった。これは確かな進歩だと思う。みんなおつかれさま(^_^)
音響の加賀其くん、おつかれさまでした。破格の条件でよくやってくれました。
舞台監督の羽広さん、おつかれさまでした。俺のコダワリによくつきあってくれました。また、同じ演出家としてのアドバイスありがとう。助かりました。
そしてミノルをはじめとするショーGEKIのお兄さんお姉さん方、お世話になりました。みんなの助けがなくては今回の芝居は成り立たなかったでしょう。どうもありがとう。
そしてそして、不二稿さんをはじめとする「青の奇蹟」の皆様、お世話になりました。芝居の冒頭で役者たちに「狭い」「狭い」と連発させて失礼しました。不二稿さん、次は猫たちに会いに行きます。
そしてそしてそして、ご覧下さった皆様、拙い芝居を温かく見守っていただき、ホントにありがとうございました。研修生たちの成長を今後とも見てやってください。ヨロシクお願いします。
ああ、やっと芝居からチョット離れられるぞ。では、次の機会に。